自動ブレーキ、その特性についてあなたはわかっていますか?
最近、テレビCMで良く見る自動ブレーキ。
よそ見をしてても前の車に接近しすぎると自動で減速して追突せずにすむというイメージがありますよね。
米国ではAIによる自動運転が始まっていますから、日本の車でも先進システムで事故を起こさないと思っていませんか?
今回は自動ブレーキに対する誤った認識について書いてみます。
自動ブレーキ
矢沢永吉出演の車メーカーのCM、われらが永ちゃんがハンドルを握らずに車に乗っているシーン。
実に優雅でこんな時代になったんだと思わされます。
別のCMでは、運転中の若い女性、ちょっと手元に集中してしまい、危ない!追突しそうなった瞬間、自動でブレーキがかかりほっとします。
こんなCM、見たことがあるのでしょう。
今の車は自動でブレーキをかけてくれるんだ〜、と思っている人は少なくないようなんですが・・・
この自動ブレーキに関してJAF(日本自動車連盟)ではアンケートを取りました。
画像出典元:http://www.jaf.or.jp/profile/news/file/2016_11.htm
自動ブレーキという名称を知っている人は81.1%いたものの、機能を正しく答えた人は54.6%しかいませんでした。
さらに装置の機能や効果、作動する条件などを知っている人は24.8%しかいないという事がわかります。
衝突被害軽減ブレーキ
自動ブレーキ、正しくは衝突被害軽減ブレーキといってメーカーごとにその機能や性能は違います。
天候や道路状況によってシステムが十分に作動しない場合もあり、あくまでもドライバーを補助するシステムなんです。
これがついているから絶対追突しないというもではありません。
最近高齢者によるアクセルとブレーキの踏み間違いの事故が多くなっていますが、これを防ぐ装置でもありません。
JAFの実験では
雪道における衝突被害軽減ブレーキについて検証
雪道で前方に障害物を置き衝突被害軽減ブレーキがちゃんと作動してぶつからないかどうかをテストしました。
通常の雪道と凍結した道路で、速度は10kmと30kmでの検証です。
速度 | 通常の雪道 | 凍結した道路 |
10km | 20〜30cm手前で停止 | 障害物を2、3メートル押し出す |
30km | 障害物を1、2メートル押し出す | 障害物を22メートル押し出す |
いずれの場合もシステムは作動しましたが、まともの止まれたのは通常の雪道で10kmの場合だけです。
他の3つのケースでは障害物に衝突しています。
衝突しないで止まれる保証はない
たしかに雪道は特殊な場合ですが道路のコンディションによっては衝突しないで止まれる保証はないというのがわかります。
実験で救いなのはいずれの場合もシステムが作動したことですが、ぶつからないで止まれなければ意味はありませんね。
ドライバーはその特性を知っているか?
このような自動ブレーキの特性を尋ねたアンケートではドライバーの2人に1人が「勝手に自動でブレーキをかけてくれる装置」という認識を持っていました。
正しくは「衝突の危険がある時に、音や警告灯でその危険を促すとともに、車が自動的にブレーキをかけて衝突を回避または被害を軽減する装置」なんですよ。
間違った答えでいちばん多かったのは
- 前方の車や障害物等に対し、車が自動的にブレーキをかけて停止してくれる装置(39.8%)
- 車が発進する際や走行中に、アクセルとブレーキの踏み間違いを防ぐ装置(4.1%)
- ブレーキ操作を行わなくても良い装置(1.3%)
でした。
結論
現在の市販車に搭載されている技術は、ドライバーが操るアクセルやブレーキ、ステアリングの動作をアシストする程度のレベルであり運転支援システムという表現がふさわしいと言われています。
AIによる自動運転、つまりハンドル自体がなく完全に運転者がいない状態で走行する車の実用化は2030年ごろと言われているので、そういうのはまだまだ先の事になりますね。
現状では今の技術の状態を理解して事故のないようにドライバーが車と向き合っていかなければいけない時代ということなのでしょう。
自動ブレーキはあくまでも運転支援システムなんだという認識を持って運転してください。
以上「自動ブレーキ、その特性についてあなたはわかっていますか?」という記事でした。
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